当学会の目的に従い、会員の古地図に対する研究成果を発表する機会を設け、更に会員の古地図に対する知識を深めるため、年3〜4回定期的に研究会を開催しています。
- 第1回 研究会「明治期陸軍特別大演習用広域編集図例-明治34年のばあい- 」
発表者 井口 悦男氏平成7年10月14日(土) 新宿文化センター
明治34年の陸軍特別大演習時に作成された演習用図についての
研究発表がなされ、さらに正式図版との関係についても述べられました。
他の会員からも関係地図類が提供され、熱のこもった研究会でした。（出席者20名）
資料として井口氏提供による原図のコピー5種を配布しました。
- 第２回 研究会「三千分一地形図 東京近傍」
発表者清水靖夫氏平成８年 1月27日(土)新宿文化センター
この図に関する第一人者である清水靖夫氏に貴重なお話をしていただきました。
（出席者19名）
- 第３回 研究会「ロシア使節レザノフの将来した『ロシア全図』の原図・訳図の考証」
発表者吉田 厚子氏 平成８年 4月20日 (土)新宿文化センター
ロシア科学アカデミーが刊行したロシア全図の作成過程を説明され、
更に、レザノフによる「ロシア帝国全図」将来の経緯及びその刊行考証を、
多くの資料と大型の素晴らしい地図写真とを使い説明されました。（出席者1６名）
- 特別研究会
７月６日（土）東京・新宿文化センターで特別研究会が開かれました。
特にテーマはもうけず、参加者が思いおもいの地図を持ちより、地図談義に
花を咲かせました。（出席者1１名）
- 第４回 研究会 「幻の日本大博覧会」
発表者 長瀬 昭之助氏 平成８年７月２７日（土）小石川後楽園・涵徳亭
- 第５回 研究会「五万分一地形図 図歴の実例」
発表者 喜多 昭一氏 平成９年１月２５日（土） 小石川後楽園・涵徳亭
長年の図歴調査の経験から、図歴調査の難しさや戦時改描の実例を、実際の地形図を使って説明されました。
出席者 １８名
- 第６回 研究会「坂下門外の変」・「初三郎の鳥瞰図」
発表者 池田直一氏・師橋辰夫会長平成９年５月１０日（土） 小石川後楽園・涵徳亭
第６回研究会として、池田直一氏の「坂下門外の変」の研究発表、師橋辰夫会長の
「初三郎の鳥瞰図」講演会と、会員の持参した古地図の展示会を行い、その後、場所
を変えて懇親会を行いました。
池田さん発表の「坂下門外の変」は「桜田門外の変」に比べ歴史上そんなに有名で
はありませんが、古地図や古文書、さらに現場調査を通して得られた資料を元に、あ
たかもそこに脚本があるかのように、地図の上に時間的進行を張り紙をしながら、実に
リアルに説明があり、出席者は唖然としました。
最近起こった事件でもこんなに詳しく説明出来ないと思いました。古地図を研究して
いると、こんな所に到達するのかと、全くの驚きでした。これだけの資料が揃っていば、
分厚い歴史小説が一冊完成しそうです。
- 第７回 研究会「昭和２０年・本土決戦図」
発表者 中村宗敏会長平成９年８月３０日(土) 小石川後楽園・涵徳亭
中村宗敏新会長による「昭和２０年・本土決戦図」の研究発表がありました。
本土決戦用に準備された各種の地形図の実物を使って、実体験を交えた発表でした。
また、研究発表の後は、会員持参の古地図を机の上に広げての懇親会となりました。
- 第８回 研究会「世界図史と南方大陸観の変遷」
発表者 田中一亮氏平成１０年４月２５日(土) 新宿文化センター
講師は当学会理事田中一亮氏で、テーマは「世界図史と南方大陸観の変遷」で
あった。世界図の発達史において南方大陸がどのように発生し、変化したかを多くの
資料を使い多角的に話された。
今後の研究課題として「オーストラロイド先住民とモンゴロイド系ポリネシア人による
太平洋覇権と後発西洋人との異文化接触上での情報誤認」を追求したいとのことである。
