日本一の長さの信濃川、千曲川と名前を変えた源流をひたすら遡ると 長野・山梨・埼玉の三県の県境の甲武信ヶ岳にたどり着きます。 今回の命題は、公共輸送機関を使って日帰りで甲武信ヶ岳に登れるか?です。 体育の日の土曜日の夜行急行アルプスに乗って未明の小淵沢へ、小海線の 一番列車で信濃川上着、ここから村営の小さなバスに揺られ梓山に7時半に到着、 ここから千曲川の源流を遡り甲武信ヶ岳を越えて、西沢渓谷入口バス停に 17時半までに着くというのが今日のコースです。 バス停から登山口までは、高原野菜の畑の中の一本道、霜が降りる季節を前に いたる所でキャベツを収穫してトラックに積み込んでいます。道はやがて白樺の林に なり、林道終点の終点が登山口で千曲川源流遊歩道を遡ります。 丁度紅葉の始まった時期で、遊歩道は南に向かって明るく開けた沢筋を緩やか 登っていき、初めは太かった流れも途中から何本もの枝沢に別れ、やがて滑滝を 越えて東に向きを変え、苔蒸した木々の間の穏やかな流れを左右に何度か渡って、 千曲川・信濃川水源の木標に至ります。 ここからは沢ともお別れ、しばらくの急な登りでヒョコリと縦走路に出て、 甲武信ヶ岳まで最後の登りで頂上にようやく到着、もう昼近くながら西側が 開けた山頂からは、なかなかの展望です。まずは、雲の上にポッカリと浮かぶ 富士山、国師岳の左に白根三山、金峰山の左に甲斐駒とギザギザの鋸山、木曽駒、 小川山に重なるように御嶽山、八ヶ岳の間からは、穂高〜キレット〜槍ヶ岳の稜線、 鹿島槍から白馬岳の稜線、北信五山(このあたりは個別の同定は怪しい)、 浅間山といった山々が見えました。三宝山を挟んで東側は木が邪魔ですが、 奥白根山、男体山あたりが雲の上に飛び出していました。 大展望を満喫しながらの昼食の後は、一旦急な下りで甲武信小屋に降りてから 木賊山に登り直します。途中のガレ場からは、三角形に尖った甲武信ヶ岳と 丸い三宝山が対象的です。木に囲まれて展望のない木賊山、ベンチに寝ころんで 空を見上げると、梢の間から見事な青空、先ほどの展望の余韻に浸って しばしの昼寝をしました。 この先は、標高差1200メートル一気に下る戸渡尾根で、下るにつれて段々と 10月とは思えない暑さを感じる程、途中のピークで道は二つに分かれるが、 日影の沢に降りる旧道を選択、途中に珪石採取場跡や、レールの残っている古い 軌道の跡があって面白い道でした。 西沢渓谷のバス停には15時に到着、予定の最終バス(17時38分発)の 一本前に十分に間に合い「日帰りで甲武信ヶ岳に登る」ことにも成功しました。
コースタイム(参考) | |||
立川 | 0:19 | スパーホリデーパスの有効な立川から乗車 | |
小淵沢 | 2:54 | 6:18 | 小海線の待合い室で仮眠 |
信濃川上 | 7:01 | 7:11 | 小海線からは赤岳が良く見えた |
梓山バス停 | 7:36 | 7:36 | 千曲川を遡る |
毛木平 | 8:40 | 8:45 | 高原野菜の収穫の真最中 |
ナメ滝 | 9:35 | 9:40 | 途中にある唯一の滝 |
水源地帯 | 10:30 | 10:40 | 冷たい水源の水を飲む |
稜線 | 10:52 | 10:55 | 岩の露出した頂上が見える |
甲武信ヶ岳 | 11:10 | 11:35 | 富士山から浅間山までの大展望 |
甲武信小屋 | 11:45 | 木に囲まれた小屋 | |
木賊山 | 12:00 | 12:12 | 展望はなし |
戸渡尾根入口 | 12:15 | 少し戻るように進む | |
新道分岐 | 13:15 | 13:25 | ヌク沢まで急な下り |
ヌク沢出合い | 14:10 | 14:20 | 途中に珪石が散乱している |
鶏冠林道起 | 14:45 | 軌道跡の道、レールが残っている | |
西沢渓谷入口バス停 | 15:00 | 15:40 | 臨時バスをつかまえる |
塩山 | 16:20 | 16:23 | ホームの電車に乗ったら下り列車だった |
山梨市 | 16:27 | 16:47 | 「ホリデー快速ビュー山梨」に乗る |
新宿 | 18:52 | ビールを飲んで熟睡、車では出来ない楽しみ |
参考文献 昭文社 山と高原地図26 「奥秩父2 金峰山・甲武信」(1998年版) 二万五千分一地形図「金峰山」 展望図は、国土地理院発行 数値地図250mメッシュ(標高)平成9年7月1日発行を 利用しました。
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First issue Oct.24 1998(Rev.0)