はじめに


はじめに

 明治以降の日本の近代測量の歴史のなかで、陸地測量の中心機関であった陸地測量部作成の地図の全容については、網羅的な記録がないため、当時作成された地図一覧図と、現存する地図により推測するほかはない。
 とくに、終戦による陸地測量部の解体後、地理調査所の発足時に継承されなかった旧領土と外邦地域の地図は、国立国会図書館地図室、東京大学総合研究資料館、米国議会図書館地理室等の内外の各機関に分散して所蔵されている。このため、各所蔵機関の地図目録を照合して作成したのが本一覧表である。
 この一覧表により、明治以降の日清戦争、日露戦争、第一次世界対戦、シベリア出兵、満州事変、日中戦争、太平洋戦争へと続く戦争の歴史に、陸軍の一機関として陸地測量部作成の地図が深く結びついていたことを知ることができる。
 戦後50年をむかえ、当時の事情を知る人も少なくなり、歴史的観点から陸地測量部の活動について評価する時代となっているが、これらの地図群は、地図史研究はもとより、近代史研究のための基礎的な資料である。
 なお、国立国会図書館地図室、国土地理院、アジア経済研究所を除き一般に公開されていない地図を含んでいることお断りしておく。

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First issue Aug. 10 1996(Rev.0)