神奈川の《富士塚》探訪記


鎌倉にある富士塚の町




鎌倉市山崎・上町谷・寺分の境の山  嘉永2(1848)  
大日如来石像  山真講


  
 以前から地図を見て気になっていたのですが、鎌倉市内に富士塚の名前が
ついた所があります。
 場所は、大船から出ている湘南モノレールで二駅目の「湘南町屋」駅の近くで、
「富士塚小学校」や「富士塚公園」が地図に載っています。

 大船駅を降りて湘南モノレールに乗り換えます。このモノレールは車両を上から
吊り下げて走る珍しい形で、丘陵のアップダウンや急カーブがあって、
乗りごごちはゆっくり走るジェットコースターのようです。
空中を走るので展望もなかなかです。最初の駅は「富士見町」、
その次が「富士塚小学校」のある「湘南町屋」駅です。

 富士塚は、東側の山の上の方なので、まずは「富士塚小学校」を目指します。
駅の西側は三菱電機鎌倉製作所の広い敷地が広がっています。今日は、連休の
真ん中でひっそりしています。
 しばらく歩くと立派な「富士塚小学校」に着きました。何の変哲もない
鉄筋の小学校ですが、隣りには「富士塚ビル」、近くには「富士塚アパート」や
「三菱電機富士塚寮」があり、あたりの通称が富士塚になっています。
「富士塚小入口」の交差点を写真に撮って、「湘南町屋」駅に戻ります。


 次は、丘の上にある「富士塚公園」を目指します。
急な坂を登った上には住宅地が広がり、その一角に「富士塚公園」が有りました。
富士塚のまわりを公園にしたのだと思っていたら、すべり台や砂場がある
普通の公園で、名前を除いて富士塚に関連するものは何もありません。
これは、てっきり住宅開発で富士塚は潰されてしまったかと思いましたが、
一万分一地形図「大船」を見ると、住宅地のはずれにある63.66メートルの
三角点が気になります。
国土地理院発行 一万分一地形図「大船」
昭和60年編集 昭和61年4月30日発行
 住宅地の一番奥、崖の上の展望の良い家の隣りから階段を登り、小道をたどると
三角点を巻いて行き止まりです。頂上に登る踏み跡をたどると古い石碑がありました。
草をどけて正面の台座を見ると、有りました。有りました。山の形に「眞」の記号
それに先達と世話人の名前、裏面には嘉永二年と書いてあります。 
 下の巻道まで戻ってみると、頂上部分は5メートルぐらいの円形の小山になっていて、
巻道はぐるっと御中道になっています。
西の方向を望む
左端の建物は富士塚小学校

 頂上は木に被われて展望は利きませんが、一番奥の家の前まで戻ると、
西側の展望が開けます。ここから離れて見ると富士塚は対象形の小山に
なっていました。
 地元の新しい住民は、通称になっていても富士塚にはあまり関心が
ないようで、富士塚を説明する看板などどこにもありませんでした。
「富士塚小学校」では子供達に何か説明しているのかな。
 近くに「鎌倉中央公園」がありますが、開園は来月とのこと、
住宅地を走っているかわいいバスに乗って、源氏山公園入口で下車、
山を越えて鎌倉に出ました。

参考資料 岸 由二編『いるか丘陵の自然観察ガイド』山と溪谷社




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First issue May.07 1997(Rev.0)