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夜明け前に山荘を出て、月明かりをたよりに山頂を目指す。山頂に達する頃、東の空に暁の光が明るさを増してきた。やがて東海(日本海)からの日の出を迎える。闇に埋もれていた集仙峰(チプソンボン)、世尊峰(セジョンボン)の岩壁や谷に朝日が当たり、立体感を持って現れてくる。手前から玉女峰(オクニョボン)、観音峰(クワヌンボン)、水晶峰(スジョンボン)から続く鋸のような尾根の頂が、赤々と照らされている。頂上からの展望を満喫し、山荘に戻る。
今日は玉流洞(オクリュードン)、神渓川(シンキェチョ)を下り、温井里(オンチョンリ)まで16kmの道のりである。山荘を出発して樹林の中の下ると新羅太子墓(シルラテーヂャミョー)に着く。ここで道を右にとり毘盧峰東壁の上に出る。ここからは、世尊峰の西壁と玉流洞の谷の深く侵食された様子がよく分かる。
ここから、300メートルの標高差を一気に下り、源流の流れで喉を潤す。ここから見上げる毘盧峰山頂は、先ほどまで居たのが嘘のような遥か岩壁の上である。腰を上げて渓谷の左右の岸を移りながら下っていくと、やがて谷の両側が狭まり、花崗岩の一枚岩の上の八つの滑滝と淵が連なっている八潭(パッダム)にかかる。
この下流は、落差約110メートルの九龍瀑となるため、道は右手を高巻く道となる。巻き道を登りやがて滝の下をめざして急降下すると、九龍瀑の轟音があたりに反響する。下り着いた九龍淵(クリョンエン)には、上流の水を一手に集め一筋の太い流れとなって落ちている。今日は朝が早かったためここで大休止とし、岩の上で巨大な滝を見上げて昼寝をする。
やがて太陽も高くなり出発する。ここから、神渓川の出合までは、樹林の中の快適な下りである。途中右手の遥か上からの水流が、風で翻弄され広がって落ちている飛鳳瀑(ビーポンポ)が見える。なおも下り、岩盤の上を白濁した水が流れ下る玉流洞(オクリュードン)を過ぎ、もう1つの金剛門(クムガンムン)をくぐり、一广台(イルチンデー)に出る。ここからは観音連峰、世尊峰の岩稜が見上げられる。
ここから、神渓川に沿って下ればやがて道も広くなり、人間の営みを拒絶しな厳しい自然の世界から、人間の住む世界に戻ってほっとする。やがて、左手に神渓寺(シンケェサー)が見える。神渓寺は、内金剛の長安寺に匹敵する古刹であるが、往時をしのぶものは新羅の古塔だけである。
小休止の後、極楽峠(ウンナクヒョン)に登ると、世尊峰から集仙峰(チプソンボン)にかけての岩壁が圧倒的な迫力で見渡せ、長かった行程の最後にふさわしい風景であった。あとは、坂を降りて温井里の旅館に着き、早々に温泉に入り山行の疲れをいやした。