第5回【富士山と駅伝】


【富士山と駅伝】

 毎年8月の第一日曜日は、御殿場の富士登山駅伝が行われます。
 この駅伝は、御殿場から富士山頂の浅間神社までの往復の時間を競う過酷なレースで、
毎年テレビで放送されるので御存知の方も多いと思います。

 駅伝の山の区間は、御殿場口の登山道と下山道を利用しています。山の区間は、新五合
目(1431m)〜山頂間(3720m)を、五合八勺(2035m)、七合五勺(3102m)で交代して3人
でリレーして走ります。
 山の区間の走者は、前日から山に入り山小屋に分かれて泊まります。大会前日は、選手
や大会の役員が大勢泊まり、夏のシーズン中で一番山小屋が賑わい、明日競い合う選手達
がカイコ棚や土間にまで布団を敷いて眠りにつきます。この大会は戦前から御殿場で行わ
れていたそうで、その後の中断を経て復活し今年は二十一回になります。昔山を飛んだ(地
元の言葉で走った)小屋のおやじさんに言わせると、このときばかりは往時の御殿場口の
賑わいが復活するそうです。

 大会当日朝食が済むと、選手は荷物を抱えて中継点に散っていきます。午前中に御殿場
を出発して、天気が良ければやがて走る選手の姿が見えてきます。山小屋から見るとジグ
ザグの登山道を右に左に移動して登ってきます。驚くのは先頭から10組ぐらいまでの上
位チームで、登山道を走って登ってきます。実際に走って登ってみると分かるのですが、
空気が乾燥しており、気圧が地上の3分の2であるので、普通の人はすぐ息が上がってし
まします。また、御殿場口は八合目ぐらいまで砂地で滑りやすく、キックステップのよう
な要領が必要になります。

 毎年健闘するのが地元御殿場の滝が原、板妻、駒門の自衛隊チームで、休みの日に山に
来て練習し本番に備えていました。また、駅伝当日の無線連絡などの裏方でも地元の自衛
隊が活躍しています。
 毎年地元の静岡テレビが撮影を行い、当日の午後に編集され全国ネットで放送されるの
で、駅伝の様子をテレビで見ることができますが、山の区間で中継されるのは途中の一部
の区間ですから、一度現場で実際に御覧になることをお勧めします。
 
                             第5回終わり
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First issue Aug. 6 1996(Rev.0)