第4回【富士山と登山道】


【富士山と登山道】

 今回は、富士山の登山道の話をします。
 市販されている富士山の地図で一番詳しい二万五千分一地形図で、各登山口の標高を比
較すると次のようになっています。
 富士宮口 新五合 2380m
 御殿場口 新五合 1440m
 須走口   五合 1990m(本五合は別にあり)
 吉田口  新五合 2304m

 どの登山口も自動車道が開通した時点でそこを新五合目とし、途中の間隔を調整してい
ますが、御殿場口の新五合は、いかにも「上げ底」です。
 古い二万五千分一地形図をみると、御殿場口の新五合は、旧二合目となっています。
 御殿場口も、もっと上まで自動車道を通したかったのですが、宝永火山の噴火の影響で
他の登山口と比べて森林限界が低く、冬の雪崩の心配から現在の高さまでしか、自動車道
が出来なかったそうです。

 この御殿場口の利用価値ですが、下山道としては宝永火山の噴火物が深く堆積して、一
歩3メーターと呼ばれる砂走りを気持ち良く下って行けます。
 また、頂上はどの登山口を利用しても3776メートルと同じですから、1440メー
トルから登れば、標高差約2300メートルを克服したことになります。この標高差は、
甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根、剱岳の早月尾根とならんで国内最大級です。
 大部分の人は、楽をして登りたいと思うので御殿場口を敬遠します。従って小屋はすい
て、その分サービスが受けられる。(富士登山駅伝の前日か、団体客と合わない限り、一
枚の布団に互い違いに寝ることは起こりません)従って人混みが嫌いだけど富士山に登り
たい方には最適です。

 最後に楽をしたいが、混雑は嫌いという方のために、とっておきのルートを紹介します。
 富士宮の新五合目(自動車で行ける最高地点)から、富士宮口を新六合まで登ります。
ここから御中道をたどり宝永火口の辺を登り御殿場口の下山道を横切り、御殿場口の六合
目に達します。後は、すいている御殿場口の七合目か八合目に泊まって頂上をめざすとい
うものです。
 道は良く踏まれていますが、御中道の途中に小屋がないので、夜間の行動は危険です。
自分で地図を見てルートを決められる人が対象です。

  地図を見ると分かりますが、八合目から上は、富士宮口と御殿場口の登山道が数百メー
トルの間隔を隔てて平行しています。
 富士宮口登山は、最盛期に渋滞が起こるそうですが、わずかな隣りに別天地があること
を知っている人は少ないと思います。
 
                             第4回終わり
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First issue Aug. 6 1996(Rev.0)