幻の富士隠し?大室山



大室山と富士山の関係



幻の富士隠し?大室山


 大室山は丹沢山地の北に位置し、左右に均整のとれたピークが多摩地区から
良く見えます。大室山は、京王線の富士山が見える駅を調査したとき、「南平」や
「平山城跡公園」あたりから富士山に抱き込まれた姿が望まれ、八王子の南部では
「富士隠し」の異名があるそうです。
 今回は、富士山と大室山が重なる地点を探すという趣向です。

(1)京王線「南平」〜「長沼」間
 京王線の「南平」で下車して浅川を目指します。堤防の上に出ると蛭ヶ岳から
姫次、黍殻山、焼山への尾根と、犬越路から大室山への尾根が重なって見えます。
このあたりから望む丹沢の北部は、都心から見るのと違って立体感があり、
先日の大雪で雪化粧をしています。川沿いに平山橋、滝合橋と進んでいく堤防上の道は、
富士山と大室山を結んだ線(大室山ライン)にほぼ一致していて、富士山は
浅川の流れの先に大室山とほぼ重なっています。長沼橋のあたりで手前の丘陵に
隠されて見えなくなります。

  

浅川にかかる平山橋附近からの富士山


丘陵に隠れてゆく富士山


(2)京王線「京王片倉」〜神奈中バス「御殿峠」  「京王片倉」は富士山の見える駅としても紹介しましたが、南側が開けた台地の上の ホームから丹沢の山々が並んで見えます。大山は見えませんが、二ノ塔、三ノ塔から 始まって塔ノ岳、丹沢山、蛭ヶ岳とだんだんと高まり、姫次の平坦地を経て、 犬越路で大きくたわんで大室山に至るパノラマが広がります。ここからは、富士山は 大室山より右側にやや高く並んで見えます。大室山ラインは、ここより南を通って いるので、駅近くから橋本行きバスで御殿峠を目指します。

京王片倉駅附近からの富士山


(3)神奈中バス「御殿峠」〜横浜線「八王子みなみ野」  御殿峠バス停からは、予想どおり大室山と重なった富士山が見えます。ここまで 来るとだいぶ隠されて白と黒のコントラストが鮮やかです。あたりは移転してきた 大学のキャンパスやホテルが並んでいて、住宅開発工事の真っ最中ですが、 昔からの尾根道をたどると、丹沢の山々と大室山にほぼ重なった富士山が見えました。 この先、雪の尾根道をたどって最近開業した「八王子みなみ野」に出ました。

移ろいゆく富士山


(4)八王子市宇津貫〜津久井町峰の薬師(予想)  御殿峠では富士山はまだ大室山に完全に隠されていないので、この先にピッタリ 重なる地点があるはずです。計算によると見える限界は、津久井町峰の薬師の 北の尾根となり、大室山の山頂の両側に富士山の山頂部の白山岳と久須志岳が見える はずです。        距離(km) 大室山(m) 犬越路(m) 八王子市宇津貫 61.6 3,565 2,640 法政大学多摩校舎 58.9 3,710 2,729 津久井湖への道路 56.7 3,753 2,714 津久井町峰の薬師 55.2 3,772 2,685  従って、八王子市内では、大室山に富士山が完全に隠されることはないという 結論になりました。

もうひとつの富士隠し矢倉岳

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First issue Feb. 05 1998(Rev.0)