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今回は富士山の夜空や夜景の話をします。 山小屋の夕食が済んで後片づけが終わり自家発電のエンジンを止めると、小屋の周りは 闇につつまれます。天気が良ければ、普段都会では見ることがない星空が見られます。小 屋の前にある材木を並べて作ったベンチの上に布団を敷くと、標高3000メートルの絶 好の天文観察所が出来上がります。 ある日、寝ころんでいる空を見ていると流星がよく飛ぶのが見られました。小一時間数 えていると、だいたい1分間に一度ぐらいの割合で、あとで考えると丁度ペルセウス座の 流星が見える日にあたっていたのでした。 暗い流星は、本当に飛んだのか目の錯覚か分からないのですが、二人で同じ空を見て数 えると区別できます。恋人とお試し下さい。(二人で夜空を見上げる状況をつくる方が大 変な気がしますが) 富士山から眺める夜景も雄大です。近くは駿河湾に浮かぶ船の漁り火、遠くは箱根の外 輪山越しに見る湘南の街の光、相模湾の弧に浮かぶ江ノ島が夜でもはっきり分かります。 また、旧盆には山中湖の花火大会があり、上から見るとひしゃげた形の山中湖の縁に線香 花火のような小さい花火が見られます。 近くでは御殿場口の登山者のライトが、はるか下から左右に揺れながら登ってきます。 見える場所からあと何時間で到着するか予想ができます。小屋の前のベンチに腰掛けてい る登山者がいると、小屋の中で休んでいくように声を掛けて炬燵に招き入れます。すると 暗い夜道で人恋しくなっているからでしょうか、ランプの光につられてたいがい炬燵にあ たっていきます。四方山話の後で、「あと頂上まで2時間、ここまで来れば御来光も拝め ます」というと、大概の人は炬燵から腰を上がらなくなってそのまま布団行きとなります。 登山者の戦意を喪失させる手口を公開してしましました。これはずっと昔の話なので、 時効ということでお許し下さい。 第6回終わり
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First issue Sep. 5 1996(Rev.0)